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海外通販・個人輸入の基礎知識

個人輸入のメリットとデメリット

個人輸入のメリット

  • 国内では入手困難な商品が購入できる
  • 為替市場が円高であれば国内販売価格よりも安く入手できる可能性が高い

個人輸入のデメリット

  • クレジットカードが不正利用されるリスクがある
  • 決済後に商品が届かない可能性がある
  • 粗悪品が送られてくる可能性がある
  • 言語の壁
  • 関税が掛かる
  • 送料が高い
  • 商品到着に数日から数週間かかる
  • 輸入できない商品(禁輸品)がある
  • 為替で価格が変動する
  • クレジットカード決済は事務処理コストが加算される
  • 購入後のサポートが受けにくい

個人輸入の際に必要なコスト

商品代金 + 送料 + 関税額 + 消費税 + 立替手数料

立替え手数料 以外は為替レートによって金額が変動し、クレジットカード決済は クレジットカードの事務処理コスト も加算される。

仲値

金融機関の取引に使用される為替レートが 仲値Telegraphic Transfer Middle Rate)で、海外でのクレジットカード決済は商品価格に仲値を掛けた値に「クレジットの事務処理コスト」が加算される。
三井住友信託銀行 マーケット情報

クレジットカードの事務処理コスト

クレジットの事務処理コストとは 海外利用のデータ処理手数料で、各クレジットカードの発行会社によって料率が異なり、従来は 1.63%で 2018年頃から料率を 2.16%まで引き上げる会社が増え、その後 2.20%が主流になっていたが、2024年11月から VISA/ Mastaerが 3.60%に引き上げられた。
SMBC「外貨でのショッピングご利用に伴う事務処理手数料」改定

クレジットカードのレート

一般的にクレジットカード会社の基本レートは TTM事務処理コストを加算 したものになっているが、実際の換算レートはカード会社が独自に設定するため、クレジットカード発行会社によって異なり、レート換算日もクレジットカードを使用した日ではなく、カード会社の決済センターでクレジット処理が行われた日になるので、正確なレートは把握しきれない。

経験則ではクレジットカード会社のレートは取引実勢レート(ニュースなどで報じされている為替レート)よりも 米ドルや英ポンドでは 5円程高いため、取引実勢レートを使用して商品を購入すると 2~3円は下振れするので、「思ったより高く付いた」という印象を持つことになる。

VISA

VISAVISA  Exchange Rates  で指定日のレートを確認できる。

    • Amount you paid:決済する金額(現地通貨)
    • Currencies to exchange From:商品購入先の国を選択
    • Currencies to exchange To:Japanese Yen(JPY)
    • Transaction date:レートを確認したい日付
    • Bank fee:2.20(2024年11月1日以降 3.60)

Mastercard

MasterCard は Mastercard Currency Converter で指定日のレートを確認できる。

  • From(Transaction currency):商品購入先の国を選択
  • Amount:決済する金額(現地通貨)
  • To(Your Card currency):Japanese Yen(JPY)
  • Bank fee:2.20
  • Select Date Transaction Date:レートを確認したい日付

JCB

JCBJCB海外でのお取り引きにおける基準レート で 当日のレートが公開されているが、値は少数点第 3位で丸められており、過去のレートを参照することはできず、事務処理コスト(1.6%)も加算されていないため、米ドルベースの  JCB Base rate で確認する。

JCB Base rate では米ドルベースで過去三ヶ月分の基本レートが表示され、JPY の Sell の値で基本レートを確認できる。

送料と配送業者

国際輸送では FedEx・UPS・EMS・DHL・USPS などがメジャーで、配送料は国内と同様に荷物の 3辺合計の長さと重さで決まる。

FedEx・UPS・DHL・USPS

一般的にFedEx・UPS・DHL などは 配送が早く、税関も自社の通関士が手続きを行うため 海外から日本に荷物が到着したら 1 ~ 2日で税関を通り抜けるが、配送業者が税関で手続きをする際に関税と消費税を立替えて納付している場合は、立替手数料 を請求されることもある。

EMS

EMS は主要各国の配送会社が加盟して成り立っているサービスで、日本では日本郵便が取り扱っているが、日本郵便は関税手続きなどは行わないため、荷物が税関を抜けるのに数日かかり、配達日数は他の国際輸送会社と比べて長いが、コストが低く稀に税関をスルーすることもある。

輸入品の規制

  • 銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)
    拳銃・小銃・機関銃・空気銃・刃渡り15cm以上の刀・刃渡り5.5cm以上の剣などは禁輸。
  • 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)
    鳥及びその加工品、獣及びその加工品、鳥類の卵も規制され、ワシントン条約で定められた絶滅危惧種も禁輸。
  • 薬事法
    医薬品と医薬部外品、化粧品などの輸入には厚生労働大臣の承認が必要だが、個人輸入に限り特例があり、税関の確認を受け 本人使用が条件で 輸入が認められている。

輸入した医薬品・医薬部外品・化粧品などは 他人への譲渡・販売は一切認められていなため、個人で医薬品や化粧品の代行輸入はできない。

課税標準価格

課税標準価格 は関税の算出に使用される課税対象額 で、個人輸入では 小売価格の60%(卸売価格)に送料と保険料が加算された価格の 1000円未満を切り捨てた値 が使用される。

複数の商品を輸入する際は、商品の合計金額から課税標準価格が算出され、輸送時に商品へ保険をかけると保険で保証されている金額が課税標準価格の加算要素になる。

算出の際に使用される為替交換レートは関税定率法で定められており、財務省貿易統計のページ に各国の通貨レートが週別で公表される。

$1= 120円で、100USDの商品を送料 20USDで、5USDで 100USDの保険を掛けて輸入した場合。
100 x 0.6 + 30 + 100 = $190
$190 x 120円 = 22,800円
1000円未満切り捨てなので、課税標準価格は 22,000円。

関税

関税 は 国内産業を保護するため 輸入商品に課せられる税金で、課税標準価格が 1万円以上 20万円未満(平成26年度改正)の場合は、穀物・履物など一部の対象外を除き 少額輸入貨物に対する簡易税率 が適用され、課税標準価格が 1万円未満の場合は免税 になる。

$1= 120円で、送料込みで 185USDの衣類を輸入した場合。
課税標準価格は13,000円
衣類の簡易税率は 10%なので、関税額は13,000 x 0.1 = 1,300円

消費税

一般的に 消費税 として括られているが、消費税は「内国消費税」と「地方消費税」を合わせたもので、現在の消費税率 10%の内訳は、内国消費税 7.8%、地方消費税 2.2%になっており、個人輸入の際は内国消費税と地方消費税を合わせた額から 100円未満を切り捨てた金額が消費税として徴収 される。

  • 内国消費税は( 課税標準価格 + 1000円未満を切り捨てた関税額 ) x 0.078
  • 地方消費税は( 課税標準価格 + 1000円未満を切り捨てた関税額 ) x 0.022

$1= 120円で、送料込みで 185USDの衣類を輸入した場合。
課税標準価格は13,000円
衣類の簡易税率は 10%なので、関税額は13,000 x 0.1 = 1,300円
内国消費税は (13,000 + 1,000) x 0.078 = 1092円
地方消費税は (13,000 + 1,000) x 0.022 = 308円
合計1,400円で、100円未満が0なので徴収される消費税は1,400円。

住所の入力

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入力は 全て ローマ字。

  • Full Name(First Name, Last Name):姓名を入力。
  • Address Line1:住所の◯◯市以降の部分を番地から入力する。
  • Address Line2:マンション名などを入力。
  • City:市 を入力。
  • State/Province/Region:都道府県 を入力。
  • ZIP:郵便番号を入力。
  • Country:国名を入力 するか リスト から選択。
  • Phone Number:日本の国番号 81 を先頭に付け 固定電話の場合は 市外局番の先頭の 0 、携帯電話も先頭の 0 を省いた番号。(090 1111 1111 → 81 90 1111 1111)

State/ Province/ Region がドロップダウンリストになっていて県名が入力できない時は、Other などを選択して City に都道府県、Address Lineに市以降の住所を入力。

転送サービス・代理購入

海外発送を行っていなかったり、海外からの受注を拒否しているサイトで買い物をする際に便利なのが 転送サービス 代理購入サービス 。

  • 転送サービス
    現地住所を取得し、海外サイトでの 購入時に商品を現地住所へ配送し、転送サービス会社が届いた荷物を日本に発送するというもので、ジオブロックなどで直接購入できない場合や複数箇所での購入で送料が嵩んでしまう場合での利用が想定されるが、近年は転送業者宛の注文を強制的にキャンセルするサイトも増えている。
  • 代理購入
    自身で商品を購入できないサイトから購入したい時に利用するサービスで、転送サービスを行っている会社が同時に提供していることが多い。
    一般的に代理購入は 商品情報・商品URL・価格・数量などを入力し、商品代金に手数料を加算した金額を入金後、サービス提供元が指定された商品を購入して配送するという流れになっている。

米国の 転送・代理購入サービス はSales tax(州税)が無料のオレゴン州を拠点にしているところが多く、PLANET EXPRESS のようにLA に拠点があると 州税 が 商品代金の 9.5% も 加算されるため、手数料や送料だけでなく 現地住所の場所も重要。