SkyDrive – 無料プランの容量減少
2012年頃 SkyDrive にはデスクトップアプリが存在せず、ファイル/フォルダのアップロードやダウンロードはブラウザで行う必要があり、Dropbox などと比較すると使い勝手や機能面で大きく見劣りしていたが、無料で 25 GB という大容量が提供されていた。
2012年 4月 SkyDrive は デスクトップアプリ SkyDrive for Windows と Office WebApps をリリースするタイミングで、無料プランの容量を 25 GB から 7 GB に改変。
当時 Windows XPのシェアが 40%を超える中、SkyDrive for Windows のシステム要件は Windows Vista SP2 以降に設定され、ほぼ半数のユーザーが使用できず、大容量という SkyDrive 唯一の魅力が喪失する。
既存ユーザーの救済措置として 25GBまでの無料拡張が期間限定で実施されたが、期間内に拡張しなかったユーザーは 7GBに制限された。
OneDrive – 無料プランの容量増加
2014年 6月 SkyDrive から OneDrive にサービス名が変更されるタイミングで、無料ストレージ容量が 15GBに引き上げられ、カメラロールの自動バックアップ設定を行うと 15GBが付与されたため、最大 30GBのクラウドストレージが利用可能 になり、9月にはアップロード可能なファイルサイズの上限が 2GBから 10GBに拡大するなど、無料の大容量ストレージが復活する。
Microsoft が提供していた SkyDrive が 英国の衛星放送サービス BSkyB に商標権侵害で訴えられ、2013年 7月に敗訴が確定して Sky が使用できなくなったため、2014年の初めに SkyDrive は OneDrive にサービス名が変更になった。
当時は Windows XP の延長サポートが切れて Windows 7 への世代交代が進んでおり、Microsoft は OneDrive の強化に本腰を入れ始める。
OneDrive – 幻の容量無制限
2014年 10月、容量無制限を謳っていた WebDAVタイプのオンラインストレージ Bitcasa が容量無制限プランの撤廃を発表した 3日後、Microsoftは Office365のユーザーに与えられていた OneDriveの容量 1TBを無制限 にすると発表する。
容量無制限は Office 365の全ユーザーが対象のため申込みは不要で、順次ロールアウトされる予定になっていたが、早期利用プログラムが提供され、申し込めば優先的にストレージ容量が無制限になるはずだった。
現在 当時公表された Microsoftの公式ブログ等は削除されて「 なかったこと 」になっているが、当時は IT 系 のメディア や ニュース でも大きく報じられた。
早期利用プログラムに申し込んだが 1年経っても容量が増えないため、2015年 10月に Microsoftの AnswerDesk に「容量無制限化はいつ頃になるのか」チャットで問い合わせたが、「容量無制限化のキャンペーンは終了している」との回答され、早期利用プログラムの申し込みページのURLを送信し、申請済みだと伝えても「キャンペーンは終了しております」の一点張りで、挙げ句には「キャンペーンの開始時期も終了時期も公開しておりません。」と言い出す始末で、「申請を受け付けた時はすでにキャンペーンは終了していたので無制限にはしない」と無茶苦茶な対応を受けた。
AnswerDesk に問い合わせてから一ヶ月後の 2015年 11月、「一部ユーザーの使い過ぎ」という、お粗末な理由により、Microsoftは OneDriveの容量無制限撤廃を公表。
75 TBを使用した猛者もいるらしいが、OneDrive の容量無制限は Office 365の一部ユーザーにのみロールアウトしただけで終了した。
OneDrive の改悪
容量無制限の発表から撤廃までの 1年間に OneDrive for Business がコンシューマー版をベースにした仕様へ変更され、コンシューマー版の OneDriveも アルバム機能が強化されるが、2015年 11月の改変で 無料容量は 5 GBに減少、カメラロールのボーナス 15GBも撤廃 され、2014年に実施された改善策を無に帰し、更に無料容量を減らす変更を強行。
強化されたアルバム機能については、Dropboxが 2014年 1月に カルーセル(2016年 3月にサービス終了)を、Google Drive にはデフォルト機能で Picasaウェブアルバム(2016年 5月にサービス終了)を実装しており、競合サービスに追いついたに過ぎない。
新プラン発表当初 既存ユーザーから猛烈な批判を受けた Microsoftは、救済措置として翌 12月に 非Office 365 ユーザーに対して 2016年 1月31日までに容量の維持申請を行う事で、カメラロールで増量された 15GB を維持できるという対策を発表するが、無料とは言え OneDrive は利用できるストレージ容量が不安定 という印象を与えることになった。
Windows 10 の OneDrive
Windows 8 から OneDrive はデフォルト機能として Windowsに実装され、Microsoft アカウントを利用してシームレスで利用できるようになり、Windows 10 では Windows 8版に実装して不評を買った プレースホルダー が改良され、ファイルオンデマンド として復活し、モバイルなどストレージ容量に制限がある環境でも使いやすくなった。
反面、バックアップ機能を有効にすると、デスクトップや画像フォルダが OneDriveフォルダ内に移動するなど、Windowsに紐づいた癖のある処理を行うようになっている。
Microsoftのサービスが厄介なのは、Windowsに統合されていることで全幅の信頼を寄せがちだが、Microsoftは 2012年にブロガーが使用していた私的アカウントにアクセスして Hotmailを閲覧したことがある。
この行為は内部調査ということもあって法的に問題がなかったものの、改めてクラウドサービスのセキュリティが万全ではないことを浮き彫りにした出来事で、Microsoftは OneDrive に保存しているユーザーデータにもアクセスできる。