必要な工具類
- 抉じ開け機
裏蓋を外す専用工具。 - シリコン塗布機
裏蓋についている Oリング という パッキン の劣化防止のために使用。 - 裏蓋閉め機
裏蓋を閉めるだけの専用工具。
時計屋さんなどで電池交換すると、だいたい 1,000円前後が相場なので、すべての工具を揃えると 4~5回くらいは電池交換できる換算になる。
抉じ開け機 をナイフなどで代用して 裏蓋を手で閉めれば 工具は不要だが、裏蓋が歪むなどのリスクがある。
作業手順
初めて電池を交換する時計は、使用しているボタン電池の型番が分からないので、裏蓋を開けて電池を確認する。
時計用のボタン電池には 酸化銀電池 が使用され、maxell ・SONY・Panasonic などが使用している「SR」から始まる型番 と、RENATAなどが使用している「3」から始まる 3 桁の型番 がある。
- スナップ式と呼ばれる腕時計は裏蓋を外すための隙間があり、拡大すると結構な隙間があるように見えるが、実際には探すのが大変なくらい分かりにくい。
- 裏蓋の隙間にこじ開け機の先端を差し、少し押し込むように力を入れ、 こじ開け機の厚みで裏蓋を外す。
時計によっては隙間がないこともあり、鋭利なこじ開け機を使って裏蓋の境目へ少々強引に差し込みが必要な場合もある。
テコの原理でこじ開け機を上に向けて開けると、開いた際の衝撃が強く、文字盤が浮くなどのリスクがあるので禁止行為なのだが、実際のところこじ開け機を押し込んで開けるのは至難の業なので、個人的には極力衝撃を与えないようこじ開け機の先端を細かく上下に動かして開けている。
こじ開け機の先端は鋭利なので、力を入れ過ぎて滑らせてしまうと親指に直撃して大惨事になる。
- ムーブメントに付いている白いプラスチックの枠は上から載せてあるだけなので、ピンセットなどを使用して外す。(枠は時計によってあったりなかったりする。)
- 電池が露出したら電池の型番を確認してから新しいものを調達。
- 電池は金具で軽く押さえられているだけなので、ピンセットなどで少しずらしてから電池を抜き取り、逆の手順で新しい電池をセット。
- 時計が動いていることを確認したらムーブメントに白い枠を取り付ける。
- 外した裏蓋には「Oリング」と呼ばれるパッキンがついており、Oリングが劣化していると防水効果に影響が出るので、ピンセットを使用して裏蓋から取り外してシリコンを塗布する。
- シリコン塗布機の蓋を開けて Oリングを載せ、蓋をかぶせて左右に動かすと、 Oリングの汚れを落としながらシリコンを塗布できる。
- 裏蓋には竜頭用の切込みがあるので、切込みとリューズの位置を合わせて裏蓋を載せ、両手の親指で裏蓋を押さえて閉める。
カチッと音がして裏蓋が閉まったら電池交換完了。
ガラス面に指を当てて力を加えるとガラスが割れる可能性があるため要注意。
裏蓋締め機の使い方
裏蓋が反っているなどして指で押しても閉まらない時は 裏蓋閉め機 が必要。
間違ってもペンチなどで挟んではいけない。
Amazonで 1500~2000円で販売されているものは、お世辞にも作りが良いとはいえず、中古品と言われても納得するレベルの商品で、ハンドルを上下して動きが悪い時はオイルを挿すとマシになる。
時計を載せるパーツと押えるパーツは両面仕様
- 台座になるパーツのサイズは、小さすぎると時計が安定せず均一に力が加わらないので蓋が閉まらず、大きすぎるとガラス面が台座に接し、プレス時にガラスが割れるおそれがあるので、時計のガラス面が台座に触れない最大のサイズを選ぶ。
- 裏蓋を押さえるパーツは、裏蓋よりも小さいと裏蓋の外周に力が加わらず蓋が閉まらないので、同サイズ か わずかに大きめを選ぶのがベター。
- 使用するパーツが決まったら、裏蓋閉め機にパーツを固定し、時計を載せてハンドルを握ってプレス。
力を加えても裏蓋が閉じない時は、力を入れても効果はないので、時計が水平で裏蓋へ均一に力が加わっているかチェックし、 時計の向きや角度を調整する。