降水確率
降水確率は予報区内で一定の時間内に 1mm以上の雨や雪が降る確率(雨や雪の降りやすさ)を表すもので、過去に同じような気象状況となった際の降水情報や、大気の状態や気圧の変化、湿度、風の方向・速度などの気象予測モデルをもとに、統計処理により確率を算出している。
- 予報区
気象特性・災害特性・地理的特性などで区分けされた天気予報で使用される区域。 - 一定の時間
降水確率を発表する際に使用される時間区分で、当日から翌日までを 6時間毎、2日後から 7日後までは 24時間毎に区分されているが、気象状況や季節によって変化することがある。 - 1mmの雨
1時間に 1平方米に 1リットルの水が貯まる量で、短時間であれば傘が要らない程度の雨。
天気予報で発表される降水量は小数点以下が切り捨てられるので、1mmの場合は 1.0~1.9mmの幅があり、降水確率が 0%でも場合によっては 0.9mm以下の雨が降る可能性があるため、「降水確率は 0%ですが折りたたみ傘があると安心です」といった矛盾した天気予報になったりする。
降水確率が 50%の場合、同じ気象条件で一定の時間内に 1mm以上の雨が降った日と降らなかった日が半々であることを示しており、降水確率だけではどの程度の雨が降るのか分からない。
そのため極論で言えば、降水確率 10%でも土砂降りになる可能性がある。
注意報・警報
気象注意報と警報は予想される災害レベルによって決まり、一般向けに発表されている注意報は 16種類、警報は 7種類ある。
- 注意報
強風、風雪、大雨、大雪、高潮、波浪、洪水、雷、乾燥、濃霧、霜、なだれ、低温、着雪、着氷、融雪 - 警報
暴風、暴風雪、大雨、大雪、高潮、波浪 - 特別警報
暴風、暴風雪、大雨、大雪、高潮、波浪
注意報は「災害が起こるおそれがある」とき、警報は「重大な災害が起こるおそれがある」とき、特別警報は「数十年に一度の規模が予想される」ときに発令され、注意報・警報の発表基準は市町村ごとに設定されており、気象庁のサイトで基準値を確認できる。
- 大雨
大雨注意報・警報は表面雨量指数基準(降水量の平均との比率を示す指標)と、土壌雨量指数基準(土壌中の湿度の異常を示す指標)で設定されている数値を超えると予想される際に発令される。 - 洪水
洪水注意報・警報は流域雨量指数基準(流域全体の降水量と流出量の関係を示す指標)で設定されている数値を超えると予想される際に発令される。 - 強風・暴風
強風注意報は平均風速(地上10mの高さで 10分間の計測した風速の平均値)が陸上で 10m/s、暴風警報は平均風速が陸上で 20m/s を超えると予想される際に発令。(風速の基準値には地域差がある)
風速 10mは時速 36km、風速 20mは時速 72kmで走っているときに受ける風をイメージすると分かりやすい。 - 雷
積乱雲が発生して落雷による被害が予想されるときに発令。 - 乾燥
最小湿度(一日で最も低い湿度)と実効湿度(過去数日間の湿度の履歴から算出した湿度で、木材の乾燥度を示す)で設定されている数値を下回ると予想される際に発令される。
平年・冷夏・暖冬
天気予報でよく耳にする「平年」は気象庁が「平年値」として過去 30年間の観測値の平均で、10年に 1度しか更新されず、直近では 2021年 5月に更新されているため、現在は 1990~2020年の平均値が使用されている。
- 平年
過去 30年の平均値を小さい順に並べて 3等分し、観測値や予測値が中央の数値と同じであれば「平年並み」になる。 - 冷夏
6~ 8月の平均気温が平年よりも東日本で -0.3℃以下、西日本で -0.2℃以下になると「冷夏」と判断されるため、必ずしも涼しい夏になるわけではない。 - 暖冬
12月~ 2月の平均気温が平年よりも東日本・西日本で 0.5℃以上になると「暖冬」と判断されため、必ずしも暖かい冬になるわけではない。
平年値の期間と更新時期は世界気象機関(WMO)で勧告されているもので、欧米諸国では同じ基準が採用されている。
暑さの表現
天気予報の猛暑や熱帯夜など「暑さ」の表現には基準が設けられている。
寒さは体感的に寒いと感じる「厳しい寒さ」や、凍結する際に使用される「厳しい冷え込み」といった表現しかない。
- 酷暑日
最高気温が40℃以上 - 猛暑日
最高気温が35℃以上 - 真夏日
最高気温が30℃以上 - 夏日
最高気温が25℃以上 - 超熱帯夜
夜間の最低気温が30℃以上 - 熱帯夜
夜間の最低気温が25℃以上 - 夏夜
夜間の最低気温が20℃以上
気象庁は気温と湿度が組み合わさった際の実際の体感温度を示す指標を「暑さ指数」として発表している。
「熱中症警戒アラート」は暑さ指数が 33以上と予測された際に、予報区単位で発表される。
台風の大きさと強さ
「熱帯低気圧」は海水温が 26~27℃より高い、熱帯や亜熱帯の海洋上で発生する低気圧で、暖かい空気のみで構成されており、水蒸気が雨に変わる際に発生する潜熱によって強風と雨を伴い、最大風速(10分間平均風速)が 17.2m/sを超えると「台風」になる。
台風の大きさは、強風域(風速15m/s以上)の半径によって分類されている。
- 超大型
強風域の半径 800km以上 - 大型
強風域の半径 500km以上 800km未満 - 階級なし(ー)
強風域の半径 500km未満
台風の強さは、台風の中心付近の最大風速で分類されている。
- 猛烈な
最大風速 54m/s以上 - 非常に強い
最大風速 44m/s以上 54m/s未満 - 強い
最大風速 33m/s以上 44m/s 未満 - 階級なし(ー)
最大風速 33m/s未満
hPa(ヘクトパスカル)で表示される台風の中心気圧は、低いほど周囲との気圧の差が大きくなり、風が急速に回転して風速が高くなる傾向にあるが、中心気圧と風速に直接的な因果関係はない。
- 猛烈な台風の目安
920hPa以下 - 非常に強い台風の目安
950hPa以下 - 強い台風の目安
965hPa以下
中心気圧が 950hPa以上でも、最大風速が 44m/s以上あれば「非常に強い」台風になり、中心気圧が 920hPa以下であっても、最大風速が 33m/s以上 44m/s 未満なら「強い」台風になる。
梅雨入り・木枯らし1号
- 梅雨入り・梅雨明け
気象庁が発表している「梅雨入り」や「梅雨明け」に明確な定義はなく、「梅雨入り」は前日や当日が曇か雨で、翌日以降も曇か雨の天気が続くと予想された時に、「梅雨明け」は前日や当日が晴れか曇で、翌日以降も晴か曇の天気が続くと予想され、梅雨前線が戻ってこないと判断された時に速報値として発表され、毎年 9月に観測結果を再検討して「梅雨入り」「梅雨明け」の日を決めて記録しているため、発表時と異なる場合がある。 - 木枯らし1号
「木枯らし1号」は秋から冬にかけて初めて吹く北よりの強い寒風で、西高東低の冬型の気圧配置で季節風が吹く時に発生するが、気象庁が「木枯らし1号」の発表をするのは東京地方と近畿地方のみで、期間や風速、風向きなど東西で異なる基準があり、「木枯らし1号」が観測されない年もある。