食品添加物を使用する理由
コンビニ弁当をはじめレトルト食品やお菓子、清涼飲料水などのほか、ソースやドレッシングなど身近な調味料などにも使用されている 食品添加物 は、科学的な評価と規制に基き、法的な制限や許容量の範囲内で使用されている。
- 長期保存と衛生の確保
食品の鮮度を保ち、腐敗や変質を防ぐ。(防腐剤・酸化防止剤) - 風味や見た目の改善
食品の風味、香り、色合い、テクスチャーなどの改善。(着色料・増粘剤・甘味料・酸味料) - 栄養補完
食品に栄養素を補完するために使用。(ビタミン・ミネラル) - 生産効率と経済性の向上
製造プロセスの効率化とコスト削減、製品の一貫性の確保。
食品添加物を使用しない場合には、品質の劣化(味覚の変化)が早く、短期間での消費が必要になるほか、製品の品質にバラつきがあり、長期間保存可能な食品や加工食品などの利便性が損なわれる。
これらは無添加食品のデメリットでもあり、添加物を使用していなから安全というわけではない。
主な食品添加物
食品添加物は天然素材を原料にしているものもあるが、基本的には人工的に作られている物質になる。
甘味料
- ステビア(南米原産のキク科の多年草から抽出した甘味料で、ショ糖の約200~300倍の甘味がある)
- アスパルテーム(L-フェニルアラニンとL-アスパラギン酸から構成され、ショ糖の約200倍の甘味がある)
- サッカリン(o-トルエンスルホンアミドを酸化して製造し、ショ糖の約500倍の甘味がある)
- アセスルファムカリウム(熱に強い人工甘味料で、ショ糖の約200倍の甘味がある)
- ショ糖/ スクロース(砂糖の主成分)
砂糖はサトウキビやビートから作られるが、精製されたものは食品添加物に分類される。
酸味料
- クエン酸
- リン酸
- 酒石酸/ タルタル酸
食品添加物として使用されているクエン酸や酒石酸は天然のものではなく人工的に作られたもの。
香料
- バニリン(バニラに含まれる主成分)
- エチルバニリン(バニリンの合成香料)
- メチルシクロペンタン/ シクロテン(コーヒーやカラメルなどを焙煎した際の香り成分)
- シナモンアルデヒド(シナモンから得られる芳香族アルデヒドで、シナモンの香りの主成分)
着色料
- タール色素(コールタールから得られる芳香族化合物を原料とした酸性染料)
- 合成色素(アゾ染料やフタルオシアニン染料など化学的に合成された染料)
代表的なタール色素には「黄色5号」や「赤色40号」などがあり、合成色素には「青色1号」や「赤色2号」がある。
酸化防止剤
- ビタミンC(アスコルビン酸)
- ビタミンE(トコフェロール)
- ブチルヒドロキシアニソール (BHA)
- ブチルヒドロキシトルエン(BHT)
- エチレンジアミン四酢酸(油脂などの酸化を触媒しないようにする)
BHA・BHT・エチレンジアミン四酢酸などは 原材料に「酸化防止剤」と表示される。
保存料(防腐剤)
- プロピルパラベン(パラオキシ安息香酸のプロピルエステル)
- ソルビン酸(不飽和脂肪酸)
- 酢酸ナトリウム(酢酸を中和して製造)
- 安息香酸(芳香族カルボン酸の一種)
- 亜硝酸ナトリウム(ナトリウムの亜硝酸塩で劇物に指定されている)
増粘剤・安定剤
- キサンタンガム(デンプンを細菌で発酵させて作る多糖類)
- アラビアガム(アラビアゴムノキの樹液を乾燥させたもの)
- カラギーナン (海藻のイノシシノリから抽出される多糖類)
- グアーガム (インド原産のマメ科植物の種子から抽出される多糖類)
- メチルセルロース (植物の繊維素から合成される化学物質)
- 酢酸カルシウム(酢酸を中和して製造)
健康への影響
食品添加物は厳密な評価のもとで安全性を認めたものしか使用できず、人体に影響を与えない摂取量 ADI (一日摂取許容量)の範囲内で使われているため、健康への影響はないとされている。
食品添加物が危険だと言われる所以は、人工物であり、過剰投与に因る発がん性・生殖毒性のエビデンスがあるからだが、水でも塩でも過剰摂取すると命の危険に晒されるので、過剰摂取による健康への悪影響は食品添加物に限ったことではなく、コンビニ弁当やインスタント食品など食品添加物の多い食品ばかり食べていると、食品添加物の影響以前にカロリーや塩分、ビタミン不足など、食品添加物よりも健康への悪影響も大きい懸念すべき問題がある。
ただし保存料や着色料にはアレルギー反応を引き起こす可能性があり、タール色素はアスピリン過敏症を持つ人々に影響を与える可能性が指摘されているほか、加工肉の保存料として利用されている亜硝酸ナトリウムも、加熱すると発がん性のあるニトロソアミンを生成することが知られている。
亜硝酸ナトリウムは加工肉の保存料で使用されているが、生肉(牛・豚などの赤肉)の場合も肉に含まれているヘム鉄がニトロソアミンの生成を促すため、世界がん研究基金は 赤肉は週に500g以下を個人の目標とし、加工肉についてはできるだけ食べないよう推奨している。