体型と号数
スーツのサイズには体型と号数があり、体型はJ体~E体で 横幅、号数は2号~9号で 身長 を表しており、同じ体型・号数でも スタイル(型紙)によってサイズ展開は違ってくる。
日本産業規格 ( JIS ) 成人男子衣料サイズ : 体型区分
体型 | J 体 | JA 体 | Y 体 | YA 体 | A 体 | AB 体 | B 体 | BB 体 | BE 体 | E 体 |
ドロップ寸 | 20cm | 18cm | 16cm | 14cm | 12cm | 10cm | 8 cm | 6 cm | 4 cm | ドロップなし |
体型は ドロップ寸(身体の胸囲から胴囲を引いた値)で決められているが、既製服店の drop8 や drop6 という表記は JIS規格 ではなく メーカー独自の体型表示。
日本産業規格 ( JIS ) 成人男子衣料サイズ : 号数と身長
号数 | 2 号 | 3 号 | 4 号 | 5 号 | 6 号 | 7 号 | 8 号 | 9 号 |
身長 | 155cm | 160cm | 165cm | 170cm | 175cm | 180cm | 185cm | 190cm |
余談
レディーススーツのサイズ表記が号数のみになっているは体型を隠して販売する婦人服店の手法で、レディースのスーツにも体型と号数はあり、ターゲットにしている年代に合わせてサイズ展開している。
サイズ | ヌード寸法 | ジャケットサイズ | |||||||
体型 | 号数 | 身長 | 胸囲 | 胴囲 | 胸囲 | 胴囲 | 肩幅 | 袖丈 | 着丈 |
YA 体 | 6号 | 175 | 92 | 78 | 104 | 91 | 44.3 | 61.5 | 72 |
A 体 | 5号 | 170 | 92 | 80 | 104 | 92 | 44.3 | 60.0 | 70 |
AB 体 | 3号 | 160 | 92 | 82 | 104 | 94 | 44.9 | 57.0 | 66 |
既製服は体型が違っても、同じ胸囲の場合は号数を変えることで、ほぼ同じような ゆとり量 のサイズになる。
イージーオーダースーツ の場合も スタイルごとに体型が登録されているが、J体~E体までの体型をサポートしているわけではなく、スタイルによって登録されている体型は違っており、一般的にインターナショナルやレギュラーと呼ばれるスタイルはサポートしている体型が多く、クラシコやタイトスタイルなどは体型に制限があることが多い。
サイズ バランス
イージーオーダースーツは登録されたサイズ・デザインから CAD を使用して型紙を作成するため、許容範囲を超えるサイズの指定やデザインの指定は基本的にできないので、フィッターはユーザーの要望を聞きつつ 三元寸法(身体の胸囲・胴囲・尻廻)から使用できるスタイル(パターン)を選択している。
ゆとり量
スーツに限らず衣類には ゆとり量 が必要で、ゆとり量が少なければ タイトフィットに、多ければルーズフィットになる。
一般的にタイトフィットモデルではストレッチ性のある生地を使用しているが、同じ感覚でウールなどストレッチ性のない生地でスーツを作ると、動きづらいだけでなく 生地が常に引っ張られるため傷みやすく、パンクの原因になる。
標準サイズ
標準サイズは着心地やサイズバランスを確認するための基準値で、三元寸法と身長・ オーバーバスト(腕を下ろした状態で腕を含めたバストサイズ)・裄丈・肩幅から算出できる。
- 胸廻 ( 上胴 )
胸廻 ≒ オーバーバスト-18cm または 胸廻 ≒ 尻周り- 2 cm - 肩巾
肩巾 ≒ 胸廻 ÷2-胸廻 90cm 以下は2cm・胸廻96cm以下は3cm・胸廻104cm以下は4cm - 袖丈
袖丈 ≒ ( 裄丈 - ( 肩巾 ÷ 2 ))+ 3 cm で、着丈-14 cmで着丈と袖丈のバランスを確認できる。 - 胴廻り ( 中胴 )
標準体 ( A体 ) の ゆとり量は 16cm、痩身体 18cm、肥満体 12cm が目安。 - 上衣丈
上衣丈の標準 ≒ 総丈(第3頚椎から踵まで)÷ 2
標準体型の場合オーバーバストとバストの差は 18cm 前後で、差が 20cmを超える場合は三角筋や上腕二頭筋が発達していると考えられるため、胸廻りサイズを上げたほうがフィットしやすく、ヒップからバストサイズを引いた数値が4cmを超える場合は臀部が発達していると考えられるため、胸廻りサイズを上げたほうが バランスが取れる場合が多い。
よく電車の吊り革に掴まりにくいと言われたが、腕が上がらないのは下袖(袖が下向きに付いている)になっているスーツの仕様で、脇にジャバラでも入れないと上がるようにはならない。
着用時のシワや浮き
スーツは下袖(袖が下向きに付いている)のため、デザイン的に腕を上げるようには出来ておらず、基本は着用時にシワや浮きのないものがベストな状態だが、2000年頃からタイトスーツが流行り、現在は前ボタンを締めた際に、わずかに引っ張りシワが出る程度のタイトフィットが主流になっている。
サイズが大きい場合は縦ジワになり、胸周りサイズが大きすぎと首の付根あたりから脇に向かって斜めに生地が浮く「タスキジワ」、腕を下ろした際に脇付近が膨らむ「抱きジワ」、袖付け部分の縦ジワなどが代表的な症状で、ほかにも裾周りが波打っていたり、肩先が落ちているなど、見た目に野暮ったくなる。
サイズが小さい場合は生地が引っ張られるため横ジワになり、ラペル(下衿)の浮き、前ボタンを締めた際にボタンに向かって発生するXシワや腰付近の横ジワ、ベントの開きなどの症状がでる。
余談
メンズスーツは腰ポケットの上にあるダーツで絞っているだけだが、レディースはバストとウエストのドロップ差が大きいため、バスト付近や背中などにもダーツを入れ、更にストレッチ素材を使用しているが、それでもバストが大きいと通常サイズではラペルが開いたり、折れたりし、バストサイズに合わせると極端に大きなサイズになって見栄えが悪くなる。
メンズでも大胸筋が発達しているとレディースと同じような症状がでるが、専用の型紙で制作したスーツでなければフィットさせることは困難なため、一般的なサイズから選択する場合は妥協が必要になる。