社会・時事

サスティナビリティ – 持続可能な社会

概要

サスティナビリティ(持続可能性)とは 次世代のニーズを満たしす能力 を指し、社会的な進歩経済的な発展環境の保護 が調和した 持続可能な社会 の実現を目指している。

  • 社会的な進歩
    貧困の削減や格差の是正、ジェンダー平等、人権の尊重、社会的包摂などを追求。
  • 経済的な発展
    資源の持続可能な供給、環境への負荷の軽減、公正な経済的な機会の提供を追求。
  • 環境の保護
    再生可能エネルギーの利用、エネルギー効率の向上、自然資源の保全、環境への負荷の低減などを追求。

持続可能な社会(サスティナビリティな社会)は、経済的な発展と社会的な進歩を追求しつつ、環境の保護と生態系の維持を重視する社会で、資源の持続可能な利用、環境への負荷の最小化、社会的な公正と包摂性の確保、経済の持続可能性の追求などが重要な要素となる。

持続可能性の原則 – 国連グローバル・コンパクト

国連は企業が持続可能な開発への取り組みを促進するため、2000年に 国連グローバル・コンパクト を提唱して企業が自主的に取り組むべき行動指針(持続可能性の原則)を示している。

  • 人権の保護と尊重
    国際的に宣言された人権を尊重し、人権侵害を防止するための措置を講じる
  • 労働権の支持(労働基準の順守)
    労働者の権利を尊重し、雇用の自由・団結権・労働条件の改善などの労働権を支持する
  • 環境への貢献
    環境への負荷を最小化し、持続可能な消費と生産を促進するための取り組みを行う
  • 反汚職の取り組み
    汚職や不正行為を防止し、透明性と責任を重視する

国連グローバル・コンパクトは 人権・労働・環境・腐敗防止 の4分野 10原則 を提唱している。

サスティナビリティが注目される理由

サステナビリティという概念は1987年に国連の 環境と開発に関する世界委員会 が発表した ブルントラント報告書 にある 持続可能な開発(サスティナブル・ディベロップメント)に始まり、1992年に開催された 地球サミット (UNCED)では「持続可能な開発のための包括的な枠組み」を提唱した アジェンダ21 が採択され、2000年には国連で 貧困削減・教育の普及・女性の地位向上・感染症の撲滅など8つの目標から構成された ミレニアム開発目標(MDGs)を採択、更に2012年には持続可能な開発に関する国連会議 リオ+20サミット が開催されるなど、国連では30年以上前から 持続可能な開発 を提唱し続けている。

サスティナビリティは広く周知されるようになったのは、2015年9月の国連サミットで SDGs(持続可能な開発目標)の採択が直接の要因だが、持続可能な開発 持続可能な社会 が注目を集めたのは近年の近年の世界情勢や環境問題などが背景にある。

  • 環境破壊と生態系の損失
    森林伐採・水資源の乱用・大気汚染・生物多様性の減少などにより、生物の生存や生態系のバランスが損なわれる懸念。
  • 気候変動と温室効果ガスの排出
    化石燃料の使用・産業活動・農業などによる温室効果ガスの排出量が増加し、地球温暖化や極端な気候現象の増加の問題。
  • 資源の過剰消費と廃棄物問題
    天然資源の枯渇や廃棄物処理の課題。
  • 社会的不平等と貧困の問題
    社会的不平等や貧困による社会の安定や発展の阻害の懸念。

持続可能な開発目標 – SDGs

ミレニアム開発目標(MDGs)の後継であり、リオ+20サミットで採択された 未来のための持続可能な開発のための普遍的なアクセスと責任ある行動のためのリオ+20政策文書 を前身としている 2015年9月の国連サミットで採択された 持続可能な開発のための2030アジェンダ は、17の具体的な目標(SDGs)と169のターゲットから構成されており、2030年までに持続可能な開発を達成するための行動計画として、SDGsの正式な枠組みとなっている。

SDGs 17の目標

サスティナビリティやSDGsは意識高い系の話題ではなく、現実的かつ具体的な目標を掲げた国際的な枠組みで、政府・企業・市民社会の協力と連携や国際的な協力と連携も求められる。

  1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
  2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
  3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
  4. すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
  5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
  6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
  7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
  8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
  9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
  10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
  11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現す
  12. 持続可能な生産消費形態を確保する
  13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
  14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
  15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
  16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
  17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ(仮訳)

SDGsは国連加盟国が自主的に採択した目標で、各国は能力や状況に応じて具体的な取り組みを進める責任があり、SDGsの達成に向けて罰則や直接的な制裁は存在しないが、国連や国際機関、市民社会などがデータ収集やモニタリングを行い、進捗状況を監視し、政策やプログラムの改善を促す役割を果たしている。

日本政府の取り組み

SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた日本政府の取り組み。

  • SDGsの国内展開
    2016年に SDGs推進本部 を設置し、各省庁や地方自治体に対して、SDGsを取り組みの指針として組み込むように指導
  • SDGsの実施計画策定
    具体的な目標や取り組みを明記した指針や行動計画を策定
  • SDGsへの資金提供
    ODA(政府開発援助)やグリーンクレジット、民間投資の促進などSDGsの達成に向けた資金提供。
  • 持続可能なエネルギー転換
    再生可能エネルギーの導入促進やエネルギー効率の向上、温室効果ガスの削減などの取り組み。
  • イノベーションと技術の促進:
    研究開発の支援やイノベーションの促進、デジタル技術の活用。