社会・時事

新型コロナ禍で不振のアパレル業界に致命傷

アパレル業の倒産

中国 武漢で流行してから急速に全世界へと広まった新型コロナウィルスの影響により、世界的に経済が停滞して消費が大幅に減少、国内でも 新型コロナウイルス関連の倒産が増加しているが、宿泊業や飲食業、旅行業などに次いで多いのがアパレル業。

マジェスティックレゴンを展開する レディースアパレルの「シティヒル」が民事再生を申請したほか、ローカルのセレクトショップ、呉服店、貸衣装や洋品雑貨では英国ブランド「キャスキッドソンジャパン」も破産している。

いずれも新型コロナウイルスが流行する前から売上が低迷して重症だったところに、コロナ禍で消費者の購買意欲が低くなり、追い打ちを欠けるような外出自粛で日銭が入らなくなったのが致命傷になったと思われる。

アパレル大手も縮小

百貨店を中心に展開している オンワード三陽商会 が大規模な店舗縮小を行うと発表。

三陽商会は 2015年にバーバリーとのライセンス契約が切れてから苦戦続きで 4期連続最終赤字になり、社長の交代も大株主であるアメリカの投資会社 RMBキャピタルから物言いがついており、内憂外患の様相を呈している中、今年度中に不採算店舗を最大で150店閉鎖すると発表。

百貨店を中心に「23区」「組曲」「 Jプレス」 などを展開しているオンワードも、前期の不採算店舗 約700店 閉鎖に続き、2021年2月期に国内外で約700店の閉鎖を発表し、2019年10月と比較すると実店舗数は4割減少する。

この他にも百貨店中心に店舗を展開している レナウンが6期連続の赤字、三共生興も6期連続の赤字など、百貨店の販売力低下が浮き彫りになっている。

EC への移行

老舗の大手アパレルメーカーが苦境に立たされている中で、「グローバルワーク」などを展開しているアダストリアは EC での売上が好調で業績を伸ばしており、オンワードや三陽商会をはじめ多くのアパレルメーカーが EC に活路を見出そうとしている。

昨年の消費税増税と暖冬に続いての新型コロナウィルスの流行で、実店舗の膿が一気に吹き出した感もあるが、百貨店主体のアパレル販売はともかく、中小零細のアパレル業も弱体化しているところへ自粛を強いられ、融資で急場を凌いだところで新型コロナ収束後も厳しくなるのは目に見えている。

アパレル販売業にとっては新型コロナ収束後が本当の正念場になる。