詐欺の手口
警察庁のサイトによると 最近は 還付金詐欺・オレオレ詐欺・預貯金詐欺・融資保証金詐欺・金融商品詐欺・ギャンブル詐欺・交際斡旋詐欺 などの手口が多いようで、詐欺に関する情報や注意喚起もされているが、詐欺件数は平成23年度以降 増加傾向にある。
- 還付金詐欺・預貯金詐欺
税金や保険料などの還付金があると偽り、口座番号や個人情報を聞き出して不正に振り込みを行う詐欺 - オレオレ詐欺
電話で自分が孫であるかのように装い、金銭を騙し取る詐欺 - 金融商品詐欺
高い利回りや安全性を謳って株式や投資信託などの金融商品を販売し、投資家に損失を与える詐欺 - ギャンブル詐欺(攻略法詐欺)
攻略法や必勝法などギャンブルに関する偽の情報を提供し、情報料や登録料の名目で金銭を騙し取る詐欺 - 先払い詐欺・融資保証金詐欺
高額な報酬や融資などを約束し、手数料・保証金などの名目で費用の支払いを求め、金銭を騙し取る詐欺 - 交際斡旋詐欺
出会い系サイトやマッチングアプリなどで知り合った相手に交際を斡旋すると偽って金銭を騙し取る詐欺
騙される心理
詐欺の手口に共通しているのは 人間の欲深さ で、詐欺師は人の欲求や感情などの心理的な要素を悪用しており、詐欺に騙される心理には次の要素が関与している。
- 利益や報酬への欲求
利益を得たいという欲求が強すぎると冷静な判断が阻害される - 緊急性と恐怖
時間がないと急かしたり、訴えられる・逮捕されると脅すことで冷静な判断が阻害される - 情報の不足と無知
詐欺に関する情報や知識が不足していると騙されやすい - 社会的影響と信頼
警察官・銀行員・役所の職員などになりすますと騙されやすい - 認知的バイアス
主観的な判断や先入観によって正確な判断ができなくなる
この他にも 希少性の原理(希少なものや制約のあるものに特別な価値や魅力を感じる傾向)や 社会的証明の原理(他人の行動や意見を参考にして自分の行動や意見の判断基準とする傾向)など、詐欺師は心理的なテクニックを駆使して被害者を騙している。
希少性の原理や社会的証明の原理は詐欺だけでなく、マルチ商法やハイハイ商法(催眠商法)などでも使用されている。
詐欺に遭いやすい人
詐欺に遭いやすい人は 騙される心理状態にある、もしくは 騙される心理に陥りやすい人で、詐欺師はターゲットを絞って狙ってくる。
- 金銭的な困窮
経済的な困難に直面し、早急な金銭的解決策や収入の増加を求めている - 信頼と善意の過剰
他人に対して信頼を寄せやすく、善意や親切心に満ち、性善説に基づいた行動を取る傾向がある - 孤独や孤立感
孤独や孤立感を抱え、社会的なつながりや支えを求めている - 情報の不足
詐欺行為や手口についての知識や警戒心が不十分 - 強い感情や欲望への執着
欲求を満たすためにリスクを冒す傾向がある
詐欺被害に遭っているのは高齢者のイメージが強く、実際に高齢女性の割合が最も多いが、総数では現役世代が過半数を占めており、決して高齢者だけの問題ではない。
現役世代は 自己過信バイアス (自身の能力や知識に対して過大評価する傾向)によって、不確実な状況や情報に対し、自分の判断や予測が正しいと確信してリスクや誤りを過小評価したり、他の意見や情報を十分に考慮せずに自分の選択や意見が正しいと盲信するなど、高齢者とは違ったリスクがある。
AIによって巧妙化する詐欺
Apple の共同創設者 S・ウォズニアック氏が AIで詐欺は見分けにくくなると警告 しているように、AIの進化と普及に伴い、詐欺も巧妙化している。
- フィッシング詐欺の高度化
AIによって銀行や企業の公式通知と見分けがつかない詐欺メールが簡単に作成できる - ボイスフィッシング
音声合成技術の発展により被害者の声を模倣することが可能になり、銀行やサービスプロバイダーなどを偽装した自動音声で個人情報やパスワードを入手しようとする - 顔認識詐欺
被害者の写真やビデオを合成して偽の証拠や情報の作成が可能になった - ソーシャルエンジニアリングの向上
AIを使用して個人の嗜好や行動パターンを分析・把握し、ターゲットに応じてカスタマイズされた手法が使用できる - 自動詐欺メッセージの拡散
AIを活用したボットやスクリプトを使用して大量の詐欺メッセージやスパムメールを自動的に拡散できるようになった。
何かしらの規制がない限り、今後 数年で AI による詐欺被害が激増する可能性もある。